こんにちは!カズシです!
今回は前回の数学に引き続き、東大航空院試の専門科目対策におすすめの参考書を紹介していきたいと思います。
(↓数学の参考書についての記事)
実際に外部の大学から2022年度入試を受験した経験に基づいて書こうと思うので、
これから受験しようと考えている方は、是非参考にしてみてください!
目次
専門科目の難易度
まだ得点開示が行われていないので、今年度の正確な筆記配点は分かりませんが
例年、専門科目の配点が半分近くを占めているそうです。
ここで点数を稼ぐことができなければ合格は難しいでしょう…
さらに、過去問を見たことがある人には分かるでしょうが
他の大学院試の専門科目に比べて、本当に飛び抜けて難しいです。
(東大の教授が世界一難しい院試だと豪語する程だとか…)
とはいえ、参考書の内容を押さえてさえおけば、必ず解けるようになるので
なるべく早めに参考書をマスターしておきましょう。
専門科目出題内容とオススメ参考書
東大航空院試の専門科目の出題内容は大きく4つに分けられます。
流体力学 | 固体力学 | 航空宇宙システム学 | 推進工学 |
・粘性流体力学 ・空気力学 ・圧縮性流体力学 | ・材料力学 ・構造力学
| ・古典制御 ・現代制御 ・航空力学 ・軌道力学 | ・熱力学 ・機械力学 ・ロケット工学
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基本的には機械系の学生が学部で習う
流体力学、材料力学、熱力学、機械力学の「四力」と制御工学について出題されますが、それに加えて
圧縮性流体力学、航空力学、宇宙航行力学、ロケット工学について自己流で学んでいかなければなりません。
以下で、それぞれについて詳しく解説していきます。
流体力学
まず、流体力学では大きく分けて
「非圧縮性流体」と「圧縮性流体」について出題されます。
非圧縮性流体は機械系の学生が学ぶ粘性流体 (境界層流れ、ナビエストークス方程式など)と空気力学(ポテンシャル流れ、翼理論など)について
圧縮性流体は、ノズル,垂直衝撃波・ランキン-ユゴニオ方程式,斜め衝撃波について出題されます。
午前で圧縮性流体、午後で非圧縮性流体のように、両方から出題されるため出題範囲は結構広く、勉強に時間がかかります。
しかし、そこまで難しい問題が出題されるわけでもないので、しっかり勉強すれば
東大航空院試の流体力学は得点源になります!
他の科目よりも時間をかけて勉強することをオススメします。
そしてそんな流体力学の勉強に超オススメの参考書が「航空宇宙工学テキストシリーズ」

この三冊、東大の先生が執筆に関わられたと言うこともあり、
ポイントがバッチリ押さえてあり、その上で分かりやすいと言うまさに
神参考書です!
自分は圧縮性流体が全くわからない状態から、本番で完答できるレベルまで仕上げる事ができましたが、
それはこの参考書のおかげと言っても過言ではありません。
悪いことは言いません。買いましょう。(特に圧縮性流体)
これでも少し難しく感じる!と言う方にはこちら

こちらは非圧縮性流体だけですが、基礎的な公式の導出や解説を各章の始めに設けてあり、
加えて、様々な演習問題を解くことができます。
これだけ解けば大丈夫!と言うわけではないですが、
かなり力が付くので、これから院試勉強を始めるという方には非常にオススメな参考書です。
固体力学
この科目では、基本的に材料力学の範囲から出題されます。
よく出題される内容としては座屈、トラス、はりの曲げ、薄肉円筒などがあります。
構造力学については、材料力学をきちんと学んでおけば解ける問題ばかりなので、心配しなくて大丈夫だと思います。
オススメの参考書としては、私の学部で使っていた参考書を推します。
こちら、材料力学の基礎はもちろん、東大航空院試で頻出の「軸対象問題」についても記述されているので
基礎から実践までやりたい方にオススメです(実際、2022年度入試では軸対象問題が出題されました)
また、東大航空の学部で使われていると言う噂の、こちらの参考書もオススメです。
こちらは正直めちゃくちゃ難しいですが、点数に繋がるような深い内容まで触れられているので
固体力学で差をつけたい方にはオススメの参考書です。
航空宇宙システム学
航空宇宙システム学では、主に制御工学、航空力学、軌道力学などについて出題されます。
制御についてはそこまで難しい問題出題されませんが、
航空力学、軌道力学についての問題では
航空宇宙系以外の学生には馴染みの薄い問題が多く出題されます。
(自分も勉強に苦労しました…)
ただ、きちんと準備さえしておけば点数は取れる科目だと思います。
そこでオススメな参考書がこちら
こちらは自分がお世話になった東大院試ブログを発信しているデイビットさんと言う方が
「神の召されし書物」と太鼓判を押される程の参考書です。笑
(デイビットさんのブログも参考にしてみてくださいhttp://spacedavid.com/profile/)
自分も半信半疑で買ってみましたが、これが非常に良い!
航空力学の詳しい解説はもちろん、圧縮性流体についても書いてあるので
一冊で二分野をカバーできます!
特に機械系から受験しようと考えている方にオススメです!
また、宇宙機の軌道についてのオススメ参考書はこちら
この参考書は、かなり見通しがよく、簡潔にまとめられているので
軌道力学の入門書として最適な参考書と言えます。
ちなみに、軌道力学は頻出なので(2022年度入試でも出題されました)
入念に勉強しておくことで、周りと差をつけることができるかもしれません。
制御については、基礎的な問題が多く出題されるので演習で数をこなしていく勉強法をオススメします。
演習に適した参考書がこちらの二冊

良問が揃っているので、学部の勉強で基礎を押さえてから取り掛かると非常に良い勉強になると思います。
推進工学
あくまで個人的な意見ですが、流体力学の次に得点源となる科目です。
推進工学では、熱力学、機械力学がメインで出題され、
時々、ロケットに関する問題(ツィオルコフスキーの公式など)や
一般的な動力学の問題が出題されます。
こちらも、流体力学と同様に、熱力学か機械力学のうち
一方が午前、もう一方が午後といった出題形式が取られています。
熱力学では主にブレイトンサイクルの問題が出題されます。
(2022年度入試では中間冷却サイクルが出題)
ただ、時々ファンデルワールスの状態方程式についての問題が出されたりと
熱機関の勉強だけではカバーできない場合もあるので、注意が必要です。
オススメの参考書は東大航空の学部で使われているらしいこちらの「工業熱力学(基礎編)」
見通しが良く、解説が分かりやすいのは勿論、ノズル内流れや全温、全圧の計算など
ジェットエンジンやロケットエンジンに関する事項に触れられていると言う点においても非常に優秀な参考書です!
また、ジェットエンジンを重点的に学習したい方にはこちらの参考書がオススメ
自分は試験一ヶ月前にこの参考書を買いましたが、非常に助かりました!
東大のブレイトンサイクルについての問題はこの一冊で解決できます(断言)
それぐらい良い参考書です。オススメです。(自分はもっと早く出会いたかった…)
機械力学では、多自由度系の振動がよく出題されるので、自分が学部で使っていた振動工学の教科書をオススメします。
ロケット工学については、こちらの参考書がオススメです
この参考書は別の記事でも紹介した本ですが、ロケットの理論を知ることができ、読み物としても非常に面白いです!
(この記事で紹介しました)
全体復習+演習
全体の復習と演習としては、
機械系院試で定番の「四力問題精選」をオススメします!

こちらの参考書、誤植が多いことでも有名ですが、それを差し引いても非常に良い演習書です!
四力学についての良問を取り揃えており、東大航空以外の併願先の対策としても役立ちます!
ただ、こちらの参考書だけで東大航空に合格できるかと言われると、正直厳しいです。
あくまで、時間がある間に、基礎確認の目的で解くことをオススメします。
筆者は試験の4ヶ月前ぐらいに全問解き切りましたが、かなり力が付いた感じがしました。
そのおかげか併願先も全部受かったので、早めにやっといて本当に良かったです…
過去問
数学の参考書の記事でも書きましたが、
なんだかんだ言って、院試のカギは過去問での演習量です。
解き始めは難易度に圧倒されるかもしれませんが
慣れていけばスムーズに方針を立てられるようになります。
しかし、東大航空専門科目の過去問の入手は難しいです…
外部生はどうにかツテで入手するか、研究室訪問して頂くかしましょう。
それでもきつい人は、東大の工学部にあるプリントセンターという所で印刷してもらってください
(詳しくは公式HPをご覧ください:http://www.aerospace.t.u-tokyo.ac.jp/topics/20170428.html)
まとめ
今回は東大航空院試の専門科目について、オススメの参考書を紹介しました!
紹介した参考書を駆使して、合格を掴み取ってください!
また、数学の対策について考えている方はこちらの記事をご覧ください!
それではまた別の記事で!